【大卒の起業家】デンソー安城工場で期間工として働いたAさんの話
2017年から18年にかけてデンソーの期間工として1年間勤務しました。
当時の年齢は38歳。
夫婦でビジネスをしていたのですが、資金調達が必要になり期間限定で働きました。
配属は愛知県安城市にある安城製作所。
福岡から単身で、寮に入りました。
当たり寮と評判の啓和寮です。
小綺麗なワンルームの寮で、快適に1年間を過ごせました。
デンソーで期間工をやろうと思った理由は3つあります。
①期間限定で稼ぐのに都合が良かった
仕事は就くのも大変ですが、辞めるのも意外と面倒です。
期間工なら辞めるのが前提なので気が楽でした。
②40歳を過ぎてからのリピーター対策
30代までに1回期間工を経験しておけば40代以降も採用してもらいやすいと聞きました。
リピーターを希望してはいませんでしたが、万が一のセーフティーネットがあると安心です。
③好奇心
現代の蟹工船と評判の期間工はどのくらいやばいのか?
つらいかもしれないけど、30代ならいけると思いました。
期間工のなかでもデンソーを選んだ理由は3つあります。
①部品メーカーのため、力仕事が少ないから
私は持久力はあるのですが筋力がありません。
力仕事できついと評判の車体関連の期間工はやばいだろうと敬遠しました。
②残業が多いから
自動車期間工はきついので8時間勤務の3交代が多く、残業があまりないと聞きます。
私は稼ぎたかったので残業が多いと評判のデンソーにしました。
③直接雇用
派遣会社は面倒なイメージがあったのでデンソーの直接雇用にしました。
最近は綺麗なワンルームマンションに住むために派遣会社経由を選ぶ人もいるようですね。
社員寮だとタコ部屋のハズレ寮に当たる可能性もあるようなので、必ず事前に確認することをおすすめします。
ただ、後から聞いた話だと派遣会社経由であっても面倒かと言えばそんなことは無いようで、むしろ入社しやすかったり入社祝い金がついたりと、寮だけでなく色々とメリットも多いようです。
長い目で見ると、将来的には直接雇用の従業員の方が収入は高いようなので、長く働くつもりなら社員を目指すといいでしょう。
福岡は博多駅近くの貸会議室が選考会場でした。
集まったのは30人ぐらいです。
私はスーツで行きましたが、私服の人もいました。
男性が多いですが、女性もいます。
最初に全体説明があって、その後、個別面接がはじまりました。
個別面接は選考会場に来た人順なので、選考会場には早めに到着されることをおすすめします。
個別面接が終わったらそのまま帰れます。
面接はフランクな質問形式でした。
「残業は可能ですか?」や「夜勤は可能ですか?」など。
かしこまって自己PRや志望動機を述べる必要はありませんでした。
落とす面接ではないので、簡単な受け答えをしてやる気があることをみせれば問題ありません。
時間は10分もないぐらいです。
ハイブリッド車のインバーターを製造する部署に私は配属されました。
おもな仕事は、ネジ締め。
ひたすらネジ締めです。
流れとしては、製品がライン上に流れてきます。
ラインといっても、自動車工場のようなベルトコンベアではありません。
手動で製品を流していく、トロッコみたいなラインです。
前工程の人が製品を流すので、それを自分の作業エリアに引き入れます。
電動ドライバーで数種類のネジを10本ぐらい締めてから、次工程の人へ製品を流します。
それをひたすら繰り返します。
電動ドライバーには締め付けトルクや締め付け時間がプログラムされています。
そのため、ネジを締める手順はマニュアルを厳格に守る必要があります。
締め忘れや締め付けミスがあるとエラーの警報が出ます。
エラーが重なると製品をラインアウトさせる必要があり、面倒なことになります。
まずはエラーを出さないことを強く意識しましょう。
次に要求されるのがスピードです。
秒単位の改善を求められます。
右手でネジを締めながら、左手に次のネジを準備。
ネジが締まったらすぐ次のネジ締め位置に電動ドライバを移動。
移動している間に、左手に準備していたネジをセット。
そのネジを締める間に左手は次のネジを準備——。
この繰り返しです。
ネジ1本につき1秒の改善でも、塵も積もれば山となります。
ネジ本数が10本とすると、1台につき10秒の改善。
1日300台生産なら、合計で3000秒(50分)になります。
ネジ1本につき2秒の改善なら、合計100分。
3秒の改善なら、合計150分にもなります。
製造業における1秒の大切さを、デンソー期間工では教わりました。
慣れないうちはガチガチに力が入って、スピードが出ません。
スピードが出ないとラインが詰まって、自分の作業エリア前に製品が並びはじめます。
プレッシャーを感じて焦って作業するとエラーを出して余計面倒になることも。
これは誰もが通る道なので、数をこなして慣れるしかありません。
逆に言うと、数をこなせば嫌でも慣れるので心配は無用です。
勤務形態は、2組2交代でした。
日勤・夜勤を1週間ごとに繰り返します。
土日は基本的にお休みです。
残業は毎月40時間ぐらいありました。
45時間を超えないように調整されます。
ざっくりとですが、毎月のお給料が35万円(手取りは30万円)。
ボーナスが合計80万円。
年収は500万円を少し超えるぐらいでした。
デンソー期間工として働いている間に、300万円以上できました。
期間工は本当に短期間でしっかり稼げると思います。
デンソーには感謝しかありません。
とても助かりました。
期間工は20代の若い人が多いですが、30〜40代以上の人も普通にいます。
男女比は半々ぐらいで、特に女性が活躍している印象の現場でした。
学歴は高卒の人が多いようですが、私のように大卒の人も普通にいます。
様々な人が異なった目的で働いているので、誰がチャレンジしてもおかしくありません。
現代の蟹工船を覚悟していましたが、実際に働いてみるとホワイト企業そのものでした。
期間工だからといってひどい扱いを受けることもありません。
ひたすら単純作業を繰り返すので多少の忍耐力は必要かもしれませんが、車体を取り扱う期間工にくらべたら楽勝でしょう。
比較的軽作業の部類なので、力に自信のない方や女性の方も多く活躍していらっしゃいました。
軽作業でも年収が良く、300万円以上貯金もできたので私はデンソー期間工をおすすめします!